虚偽報告事案について岡三証券に損害賠償を命じた裁判例(仙台地裁平成30年3月20日判決)

投稿日:2018.11.27

証券取引被害判例セレクト55巻1頁に掲載されています(控訴なく確定)。

証券会社(担当者)が、顧客に対し、日々外国株式の価格等の電話報告を行うなか、相当期間において虚偽の価格報告を行っていた事案について、顧客に株取引における損失なくとも、顧客の正確な外国株式の値動き及び自己の損益状況に基づいて外国株式に取引を行うという原告の権利又は法律上の利益を侵害する不法行為にあたるとし金55万円の賠償(慰謝料55万円、弁護士費用5万円)を命じた事案です。

判決は、証券会社(担当者)が価格下落等の損失を隠すために虚偽報告を行ったものとして、一定時期以降の虚偽報告(約8カ月間)を認め、「被告A(担当者)の虚偽報告は、正確な外国株式の値動き及び自己の損益状況に基づいて外国株式の取引を行うという原告の権利又は法律上の利益を侵害する不法行為に当たるというべきである。そして、被告Aの不法行為によって侵害された原告の権利又は法律上の利益は財産的利益に関するものではあるが、被告Aの不法行為は故意による不法行為であり、その違法性の程度は高いというべきであるから、被告Aの不法行為は慰謝料請求権の発生を是認し得る違法行為と評価するのが相当である。」(判決17頁)とし賠償を命じたものであり、経済的損失に捉われない人格的利益を認めるものとしても参考になるものです。

日弁連消費者問題ニュースでも報告されています↓。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/consumer/news_183.pdf